■こたえたひと:波戸岡学芸員(2000/02/15, 発言番号:309)
Re[1]: 魚・甲殻類・昆虫の心臓・血液・脳についての質問
キーワード:魚類の心臓と脳 血液
魚類の心臓と脳について(格好はことなりますが、基本的には他の脊椎動物と同じです。ここでは硬骨魚類について一般的なことを書きます)、
心臓:場所は、胸びれの腹側、”のど”の下で左右のいわゆる”かま”ぶつかりあうところの少し後ろの方にある囲心腔(いしんこう)という部屋にあります。つくりは、一心房一心室で、後ろからこの順番にならんでいますが、心房のすぐ後ろにはからだ全体から集まってきた静脈血があつまる静脈洞という部屋があり、また心室のすぐ前には動脈洞という心室に起源があるといわれる小部屋があります。血液は尾から頭の方向に流れています。心臓全体は三角錐が横になったような感じです。余談ですが、マグロ類やサバ類など、活発に泳ぐサバ科の魚の心臓は、比較的大きく、食べるとおいしいです(焼き肉の”はつ”です)。
血液の循環:静脈洞>心房>心室>動脈球>>(腹大動脈)>>鰓(腹側から背側に血液は流れ、ガス交換がおこなわれる)>>(背骨の下の背大動脈で全身に、また内臓動脈で内臓になど)>>筋肉や内臓>>(各種静脈)>>静脈洞。二心房二心室の哺乳類では、酸素にとむ動脈血が左心房、左心室を流れますが、魚類では心臓の中を動脈血は流れません。
血液:他の脊椎動物と同じで、血漿と血球(赤血球、リンパ球ないし白血球、血小板)からなります。血球はひ臓でつくられます。
脳:場所は、もちろん頭蓋骨のなかにあります。なお、頭蓋骨は眼の後のすこし背中側にあります。つくりは、前後に長い器官で、終脳(嗅覚など)、間脳(視床下部といわれるところがある、代謝の調節など)、中脳(視覚など)、小脳(姿勢の維持など)、延髄(各種感覚、運動など)からなります。格好は魚種によってかなり異なります。
■発言したひと:山西学芸員(2000/02/15, 発言番号:310)
Re[2]: 魚・甲殻類・昆虫の心臓・血液・脳についての質問
椎野季雄著、中山書店「動物系統分類学」7(上)p.38、甲殻類の総説から、カニ・エビについて、
血管系:他の節足動物と同じく開放系で、心臓から出る動脈は定形の壁を有し、長短距離走行の後、毛細管に分岐し、血管壁を失う。血液は器官および組織間隙を流れて酸素を与え、しかる後、特定の腔所、すなわち何等の壁なく、ただ一定の経路をたどる血とう(sinus)に集まり、鰓に流入して再び動脈血となり、ついには囲心腔に達し、心臓壁の開口、心門を経て弛緩期の間に心臓に還る。心臓は腸管上にあり、もとは伸張した空腔で、常に呼吸器の存在する体部に見出され、体節ごとに配列した心門の対を有する。
酸素と栄養の配布の役目をもつ血液は多くは無色透明、ときに赤色(hemoglobin)または青色hemocyanin)を呈することがある。
■発言したひと:松本学芸員(2000/02/15, 発言番号:311)
Re[3]: 魚・甲殻類・昆虫の心臓・血液・脳についての質問
キーワード:昆虫の心臓 血液
昆虫に関してです。
心臓:昆虫では背管と呼ばれるものが、ほ乳類などの心臓にあたる働きをしています。これは昆虫の背中側を頭部から腹部に続く管状の器官で膜によって他の部分と分離されています。この管は通常腹部の2節目以降の節状(枝豆を上から見たような)になった部分と、それより前のまっすぐな部分からなります。昆虫の血液はこの管の節になった部分の小さな隙間から吸い上げられ、管を通って頭部に運ばれますが、この運動は節の部分に付着している筋肉の働きによって起きると考えられています。
血液:器官や細胞の間を満たしている液体を血液と呼ぶのならあります。ほ乳類のように末梢部分まで細い血管があるわけではありません。血液は血しょう、血リンパ、遊離細胞、血球などからなるやや粘性のある液体です。通常は透明ですが、含まれる色素によっコハク色や黄色や緑などの色をもつ場合があり、その傾向は幼虫で特に強いようです。
■発言したひと:monitorの補足(2000/02/15, 発言番号:312)
Re[4]: 魚・甲殻類・昆虫の心臓・血液・脳についての質問
カニ・エビと昆虫では、心臓と血液に関しては答えてるけど、脳についてはあまり答えてませんので、補足します。カニ・エビと昆虫はともに節足動物に属していて、いずれも頭部背側に脳を持っています。さらにくわしくは、山西学芸員が紹介している本をご参照下さい。
ところでカニミソってカニの何か知ってますか? 知らない人はせひ質問して下さい。