■こたえたひと:那須学芸員と石井久夫学芸員(1999/09/18, 発言番号:241)
Re[1]: おいしい水についての質問
キーワード:おいしい水
おいしい、という味覚の問題は、かなり判定者の個人差(味覚力、どんな水に慣れ親しんできたか、など)、その時の体調、水の温度,飲むときの気候などによって感じ方がかわると思いますので、難しいです。名水というのは、多くの人からおいしいという評価を得ているわけですから、一応おいしいということにして、まずいといわれる水と成分をくらべてみる必要がありそうです。そうでないとなぜおいしいと感じるかわかりません。煮沸か生水かも水温など条件を一定にしたうえで、両方飲み比べることと、煮沸すると成分がかわっているかどうか調べて比べてみることも必要だと思います。
飲むとき煮沸してくださいというのは、大腸菌などが検出されたことがあるからでしょう。名水がわき水だとしたら、普通は、もともと雨がしみこんでふたたびわき出したものですから、大腸菌がふくまれることもあるわけです。水の専門家であれば、ある程度害になる危険を覚悟で実験することがあるかもしれませんが、そのまま飲まないように注意されているなら無理しない方がよいと思います。また知られている限りでは、煮沸で消えるような成分は味の良さには関係ないようです。
わき水だけでなく深山の川を流れる水も、川によって味が違うものです。水が通過する場所の地質(地下水の場合は地層)によって、わずかではあってもとけ込む成分が違うため、味が違うわけです。わき水だとしたら、まわりの地質や岩石、井戸だとしたら、水をくんでいる深さ、山の中か平野か、海に近いか遠いかなどで、味がどう違っているかを調べたらおもしろいかもしれません。
ちなみに蒸留水はそのまま飲んでみても、緑茶や紅茶などを入れてみても美味しくないことを体験してみても良いでしょう。