自然史博物館によせられた質問(質問番号:461)

■質問したひと:仙台市のすまさん(2001/06/02, 発言番号:988)
貝の右巻き左巻きについての質問
キーワード:巻貝、北半球、南半球
 友人とサザエの料理について話している時に思ったのですが、貝の巻き方は、北半球と南半球では逆なのでしょうか?水の渦は北と南では逆になるので気になりました。

■こたえたひと:第四紀研究室の石井久夫学芸員(2001/07/06, 発言番号:989)
Re[1]: 貝の右巻き左巻きについての質問
キーワード:腹足類、自転
 まず、サザエの巻き方は。右巻きといいます。多くの図鑑のように、殻のとがったほう(殻頂)を上にして体が出入りするところ(殻口)を手前に置くと、向かって右側に殻口がくるのが右巻きです。殻頂の報から見て太い方へと右に巻いているのが右ともいえます。
 北半球と南半球の巻き方の違いは、よく知られているのは台風の写真でしょう。気象協会などのホームページを見ると地球全体を写した写真が見ることがができます。地球が自転していることから働く力です。巻貝でご質問のようなことは、残念ながらありません。北半球と南半球で巻き方にちがいがあったら境界の熱帯地方は半々かどちらにも巻かないことになるのでしょうかね。熱帯地方は貝の種類がたいへん多いのですが、他の地方と同じくほとんどの巻貝(腹足類)は右巻きです。地理的なことは関係なさそうです。
 グループ(分類群)によっては左巻きが多いということもあります。たとえば大きく言えばカタツムリのなかまのキセルガイというグループはほとんどが左巻きです。海の貝ではキリオレのなかまなど、あまりおなじみでないグループですがほとんど左巻きです。本来右巻きがふつうというグループの中、左巻きの種がいることもまれにあります。また、偶然逆巻きになった個体も、見つかることがありますが、子孫を残すことは難しそうです。
 動物のなかで巻貝のように体がらせん状にねじれていること自体がたいへん珍しいのです。巻貝、二枚貝、タコなどの共通の祖先は、左右相称だったと考えられていますが、巻貝だけが、ねじれるように進化しました。コンパクトに殻の中にまとまるのに都合がよかったとは思いますが、なぜ右巻きのほうが多いのかはわかりません。ちなみに磯で岩にはりついている笠型の貝は、見かけは巻いていないようですが、やはり右巻きのからだのつくりです。アワビが右巻きというのは、まだわかりやすいほうですね。

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貝の右巻き左巻きについての質問(2001/06/02, No:988)
Re[1]: 貝の右巻き左巻きについての質問(2001/07/06, No:989)