自然史博物館によせられた質問(質問番号:45)

■質問したひと:千葉県の久藤さん(1999/03/01, 発言番号:109)
恐竜の食性についての質問
キーワード:恐竜の食性
 恐竜の化石が発見されると、その恐竜は生きていたときに植物を食物にしていたか、肉食であったか、または雑食であったかなどが推測 (というより決定?)されています。
 また以前、「ラクダ」の歯について聞いたことがあります。ラクダの前方の歯は鋭いきばの様になっており、もしラクダが絶滅した後、その頭部の化石だけを見たら肉食の動物だと判断されるかもしれないというような話しでした。
 じっさいに、どのような歯の構造があれば肉食、どのような構造であれば植物食と判断するのでしょうか?

■こたえたひと:樽野学芸員(1999/03/01, 発言番号:110)
Re[1]: 恐竜の食性についての質問
キーワード:臼歯の形
 あくまでも、ほ乳類での知識が基礎となっており、主として臼歯の形を問題にします。肉をかみきるのに適した形か、植物をすりつぶすのに適した形かという点で、判断しています。たとえば、
 肉をかみきるのに適した形:鋭い切縁がある。その縁はステーキナイフみたいに細かくギザギザになっていることもある。上下の歯は鋏みたいに、すれ違うように噛み合う。顎も鋏のように動く。
 植物をすりつぶすのに適した形:上下の歯の噛み合う面は広く、そこには細かい凹凸がある。ただしこの形は、1本の歯でできていることもあるし、多くの歯が集まって、広い面積の細かい凹凸を作っていることもある。顎は、単純な開閉でなく、前後や横に動く。顎の動きは顎関節の形や、顎を動かす筋肉の付き方(頭骨の形)で判断する。
 ラクダの話をした人は全然わかっていないようです。ラクダの前歯が「鋭い」ということならば「ヒトも肉食だ」ということになるのではないでしょうか。植物食や雑食の動物といえども、すりつぶすには、植物をかみきって口に入れないといけないので、咬みきるための鋭い前歯を持っていることがあります(といってもヒトの前歯程度)。とくにこのタイプの前歯は偶蹄類では一般的です。上の説明からおわかりいただけると思いますが、もし頭骨があれば、顎の動きがわかりますので、こんな判断にはなりません。また頭骨があれば当然臼歯も付いているでしょう。

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恐竜の食性についての質問(1999/03/01, No:109)
Re[1]: 恐竜の食性についての質問(1999/03/01, No:110)