■こたえたひと:波戸岡学芸員(2000/11/20, 発言番号:647)
Re[1]: 魚の腸内細菌についての質問
キーワード:養魚飼料学、腸内微生物、腸管
魚類担当の私が学生の時、水産学一般の講義の参考書として推薦され手に入れた「橋本芳郎編(この人は海の生き物の毒に関しての名著”魚介類の毒”の著者)、養魚飼料学、恒星社厚生閣(水産関係の書籍を多く出している出版社です。)1972」という、養殖のための餌の効率を書いた本によりますと、
”魚では空腹時腸内はほとんど無菌に近くなるといわれ、腸管が短く消化時間が短い場合は腸内微生物の影響は家畜の場合ほど著しくないと思われる。このことは、後で述べるように家畜で成長促進に有効な抗生物質が魚類ではほとんど無効であることと一致するようである。しかし、消化時間が長い場合は腸内微生物になんらかの影響を受ける場合があるであろう”
とあります。
要するに、魚類には基本的に腸内に細菌は人のように”飼って”おらず、食物に含まれている細菌が、素通りするだけで、滞在時間が長ければ、食物由来の細菌の影響を若干受けるということでしょうか。
問題の餌のビフィズス菌は、一般的に腸の長い草食性の魚には、効果(何の効果?)はちょっとだけあるのかもしれませんが、ほんとのところは、わかりません。なんとなく、人にいいものが(ほんとにいいものかわかりませんが)ほかの生き物にもいいという、業者のたくらみのような気がします。