■こたえたひと:波戸岡学芸員(2000/10/25, 発言番号:581)
Re[1]: メダカの卵の大きさについての質問
キーワード:メダカの卵
受精後か未受精かで、答えは変わります。鶏の卵とか、子宮とかが質問の中にあるので、受精後のことだとすると、「卵はふくらみません」というのが答えです。
卵のもとになる細胞は、卵巣内にある卵原細胞というもので、直径が大体0.012〜0.014mmくらいです。これが、体細胞分裂(染色体の数が変わらない、ふつうの分裂)によってどんどんどんどん増えます。その後、この卵原細胞は、細胞内に受精後の卵の発生に必要な栄養を蓄えて、大きくなり卵母細胞となります。排卵直前、直後の”たまご”の大きさは直径1.2mmくらいになっています。受精にそなえて、染色体が半分になる減数分裂は、魚類では(メダカも)排卵前後の時期に起こります。
受精直後に、卵膜と細胞の本体の間に囲卵腔と言うすき間ができますが、卵自体の大きさはほとんどかわりません。以後、受精膜(囲卵腔が出来たあとの卵膜)の中で、発生が進み、成長し、魚の形をした胚(卵内にある生物の本体)は受精膜を破って外に出てきます。これがふ化です。
このように、排卵までは卵は成長するが、排卵、受精後は大きさかわりません。
以下の図書が参考になります。1は学校にはおすすめの本です。
1.メダカ学全書.岩松鷹司著.大学教育出版,1997.ISBN4-88730-287-8 C3045,9975円(税込)
2.メダカの生物学.江上・山上・嶋 編.東京大学出版会.1990.ISBN4-13-060151-2 C3045, 6180円(税込)