自然史博物館によせられた質問(質問番号:267)

■質問したひと:奈良県大和高田市の駒沢珠樹さん(2000/10/20, 発言番号:566)
アンモナイトの軟体部についての質問
キーワード:アンモナイトの化石
 アンモナイトの化石を見ていてよく思うのですが、軟体部に関して、何か解かっている情報は無いのでしょうか?軟体部が化石に残りにくい事は私にも想像がつきますが、バージェス頁岩のような例もある事ですから。もしかして、何か情報があれば、文献等をご指南願います。

■こたえたひと:川端学芸員(2000/10/20, 発言番号:567)
Re[1]: アンモナイトの軟体部についての質問
キーワード:アンモナイトの軟体部
 お書きになってるように、生物の軟体部は通常は化石としては残りにくく、多くの場合殻の部分だけが化石として保存されます。これは、生物が死んだあと堆積物(土砂など)に埋められるまでや、埋められてからも腐肉を食べる動物やバクテリアなどの様々なレベルの分解者によって軟体部はほとんどが分解されてしまうからです。わずかに残っていたとしても、化石になる過程の続成作用によって化学的に分解されてしまいます。そのため。軟体部が化石として保存されるのはいろいろな条件と偶然が重なった結果で、非常に貴重なものです。バージェス頁岩はまさにそのような希有な例の一つであって、大変貴重な情報を私たちに残してくれています.
 アンモナイトの軟体部については、同じ頭足類のなかまで現生のオウムガイの体制を参考にして描かれています。バージェス頁岩に含まれている化石のように軟体部の様子が調べられるような化石はほとんど見つかっていません。
 わずかですが、化石の保存状態が非常に良好なことでしられているドイツのゾルンホーフェンやホルツマーデン産のジュラ紀のもので、外套膜や腕の痕が産し、4〜5対の腕に鈎、あるいは吸盤と思われるものが付着しているのが見つかっています。またゾルンホーフェンでは地層に残されたアンモナイトの足のずり痕から、触腕の数は10本以上と考えられています。そのほかに、消化管やえらと考えられる部分が保存された化石もしられています。
 軟体部の残る化石については、築地書館 古生物各論 第3巻無脊椎動物化石・下によります。復元図としては、川島書店 古生態図集・海の無脊椎動物 福田芳生著 も参考になると思います。

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アンモナイトの軟体部についての質問(2000/10/20, No:566)
Re[1]: アンモナイトの軟体部についての質問(2000/10/20, No:567)