自然史博物館 質問コーナー(発言の個別表示)

■発言したひと:内貴学芸員(2005/04/12, 発言番号:798)
Re[1]: 植物の液浸標本の作り方についての質問
 液体を使った標本(液浸標本)は、植物の場合FAA(エフエーエー)という固定液を使用します。
 ホルマリン、氷酢酸、70%エタノールを体積比で5:5:90の割合で混ぜたものです。Folmalin, Acetic acid, Alcoholそれぞれの頭文字を取ってFAAと呼びます。混ぜる順序は70%エタノールにホルマリン、氷酢酸を注いでください。ホルマリンと氷酢酸を先に混合することだけはしてはいけません(氷酢酸の作用によりパラホルムアルデヒドという水に溶けにくい物質ができてしまうため)。換気の良い場所で作成してください。
 ホルマリン、氷酢酸が手に入らない場合は70%エタノールでも構いません。ただ、切片の作成や走査型電子顕微鏡での観察などを行う場合はFAAの方が良いです。
 FAAで一旦固定した後(ショウガ科の場合は約1〜2週間後)は、FAAを捨て、50〜70%エタノールに漬けかえて構いません。この方が後の観察時に嫌なにおいを嗅ぐことがありませんので。
 ショウガ科の植物は研究用に液浸標本がたくさん作製されるものの一つです。ガラスや丈夫なプラスチック製容器に根茎を入れ、それが十分に浸る量のFAA(または70%エタノール)を入れます。鉛筆書きのラベル(紙片)を容器中に入れることをお勧めします。ラベルは外にも貼ったりマジックで書いたりしますが、何らかの事故でそれらが無くなったり消えたりすることがあるからです。
 根茎自体の伸び方を保存したいときはそのままか、数個に分割して漬け、切片作成などが必要になる場合はやや小さめに切り分けて漬けます。これは固定液を早く植物組織に浸透させて固定するためです。

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