自然史博物館 質問コーナー(発言の個別表示)

■発言したひと:小郷一三さん(2001/03/05, 発言番号:758)
Re[1]: ウミシダについての質問
キーワード:有茎、無茎、古生代
【茂似太の注釈】
 当館には残念ながら、ウミユリ類の専門家がいません。以下の答えは、ウミシダの専門家である小郷一三さんに答えていただきました。快く答えてくださった小郷さん、どうもありがとうざいました。

【小郷一三さんの答え】
 ウミシダは、ウミユリ類の仲間です。ウミユリ類には5つほどのグループがあって、その1グループがウミシダです。最大の特徴は「茎を持っていない」ことですが、卵からの初期発生過程には茎があり、系統的には有茎だったと考えられます。
 ウミユリ類(ウミシダを含めて)は、古生代にもっとも繁栄したのですが、ほとんどは古生代の終わりとともに絶滅しました。一部のグループ(関節類)だけが生きのびて現世にいたっています。現生のウミユリ類はすべてこの関節類を起源とし、化石は中生代ジュラ紀から見出だされています。現生ウミユリ類の形態は,ジュラ紀の化石とほとんどかわりなく(つまり、ジュラ紀以降の進化によって生じた形態変化の幅がひじょうにわずかであることを意味します)、このために、有茎ウミユリも無茎ウミユリ(ウミシダ)もともに「生きている化石」といえるのです。
 日本語で書かれたウミユリの図書はありません。少し専門的になりますが、大阪市立自然史博物館が発行しているNature Study(15巻4号;38巻1,2号)に簡単にまとめた記事があります。ご所望でしたら、コピーをお送りします。

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