自然史博物館 質問コーナー(発言の個別表示)

■発言したひと:佐久間学芸員(2001/01/30, 発言番号:694)
Re[1]: 化石の研究者についての質問
キーワード:研究室、大学院
 高校の時にどの大学でどういう研究ができるかというのはなかなか見極められないものです。大学の受験案内なんて何でもできそうな事書いてあるけどほとんどキャッチフレーズです。実際にそこにいる教授や助教授が何を研究しているか、院生指導にどういう態度か(どういうことをやらせたがっているか、新しいテーマを持っているか、研究費はあるか、院生の自主性をどこまで重んじるか等々)で決まります。たとえこの教授のいる大学にしよう、と見定めても、あなたが大学の3、4年になって研究室にはいるまで、もっといえば大学院に進むまで、その教授がその大学にいるか、定年退官しないか、保証の限りではありません。もっといえば大学に行っても研究室で研究できるのは3年の終わり頃からの1−2年間です。
 このあたりを見定めて、もう少しこの大学だったら化石だけでなくどんなことを勉強できるか、を見極めるというのも一つの手です。恐竜だけ知ってる人よりもDNAやトカゲの生態や隕石や鉱物がわかる方がおもしろい研究ができるかも。何が関係するかわかりません、実際にやるまでは。いっそ大学はそういう研究のための基礎と割り切って、大学院を受験するというのも手です。関連した分野にいればどの研究室がおもしろいという見通しも利くようになります。弊害は受験をもう一回しなきゃだめだということ、でも好きな分野の受験なら、まだしもでしょ。私もそうして大学院に進みました。
 研究をしたいというのであれば、学生生活が長くなると覚悟を決めて長期計画で望んでください。もちろん、そのうちに学費や生活費のことも考えないといけないようになってきます。経験談でいえば、仕事をしながらの貧乏院生暮らしも何とかなるものです。

【茂似太の補足】
 樽野学芸員の答えが、高校生向けの普通の答えですね。佐久間学芸員の答えは、いろんな現実をふまえてのもので、わかりにくい点があるかもしれません。
さらに付け加えれば、化石を研究できる職業の一つに博物館の学芸員があります(実際、樽野学芸員の専門は、ゾウの化石です)。学芸員になるにはどうしたらいいかは、Q&Aコーナーにやりとりがあるので見てください。

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