自然史博物館 質問コーナー(発言の個別表示)

■発言したひと:藤井学芸員(2001/01/12, 発言番号:685)
Re[1]: 動物の絶滅についての質問
キーワード:遺伝子資源、生物群集の安定性
 この問題には一つの正しい答えがあるわけではありませんし、個々人の考え方が大きく影響すると思いますが、一般論としてお答えします。
 人間本位にメリット・デメリットを考えた場合、生物の絶滅は以下のような「人間にとっての有用性を失う」デメリットがあります。
1.遺伝子資源としての有用性(潜在性も含む)
2.生物群集の安定性
3.教育・研究素材として科学の発展に寄与する有用性(潜在性も含む)
4.文化(財)としての価値

 2.の「生物群集の安定性」については、それが崩壊した場合に人間の生活までもが脅かされることを暗に想定しています。詳しくは、加藤辰己・太田英利著「エコロジーガイド日本の絶滅危惧生物」(保育社、1993年発行)に触れられているので、そちらをご参照ください。
 ただし、「絶滅」という問題に関しては、「はたして人間本位の議論が正しいか?」という哲学的な問題が解決されていません。生物ひとつひとつに命があり、それを他者(この場合は人間)が奪う権利が果たしてあるのだろうか、という問題です。一般には、「自然に対する倫理」としてクローズアップされます。

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