自然史博物館 質問コーナー(発言の個別表示)

■発言したひと:和田学芸員(2000/09/09, 発言番号:533)
Re[1]: メジロのヒナの飼育についての質問
キーワード:メジロ
 拾われたのがメジロだと仮定して返事します。
 市街地近くで繁殖する鳥の内、ヒヨドリ、メジロ、スズメなどは、ほとんど飛べない内にヒナが巣立ちします。地上近くを無様に移動して、親鳥のあとをついていき、餌をもらいます。この期間は、地上に降りていることも多く、人が近づくと親鳥は逃げてしまいますので、ヒナが落ちているように見えます。そして、人が簡単に捕まえることができます。こうした形で、親からちゃんと世話をされているのに、人間に”拾われて”しまうケースが多発してしまいます。人間は善意なのですが、これは鳥にとっては誘拐と同じです。もし鳥のヒナが落ちているように見えても、怪我をしていない限りは、拾わないで、そっとしておいて欲しいです。今回の質問の鳥についても、このような”誘拐”であった公算が高いと思います。この次から、もし知り合いが鳥のヒナを拾っても、まず元の場所へ返すようにしてください。
 メジロのような昆虫食のヒナを育てる時は、メジロやウグイス用のすり餌やミールワームを主に用います。また眼や脚が正常に発達するためには、ビタミン剤も必要とされます。この鳥の場合は、ビタミンなどが不足したために脚が正常に発達しなかったのではないかと思います。羽根が生えそろわない理由はよくわかりません。よほど栄養条件が悪かったのでしょうか。
 いずれにせよ、このような状態での野生復帰は無理だと思います。放すのは簡単ですが、すぐに死ぬでしょう。したがって、少しでも長生きさせたければ、死ぬまで飼うしかありません。
 怪我した鳥を保護することは、緊急避難的な措置として、とくに許可がなくても問題にはされませんが、長期間にわたって飼育するには許可が必要です。さいわいメジロは、一家庭に1羽までは、都道府県知事の許可があれば飼育できるはずです。入手からの経過を説明して、許可申請をすればいいと思います。くわしくは静岡県の担当部署にお尋ね下さい。

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