自然史博物館 質問コーナー(発言の個別表示)

■発言したひと:樽野学芸員(2000/03/30, 発言番号:338)
Re[1]: 化石馬についての質問
キーワード:ヒラコテリウム 化石ウマ
 復元されたヒラコテリウムの数についてはわかりません。脊椎動物の化石(骨格)が,全身そろって発見されることはまれなことです。日本で最も多産する長鼻類はナウマンゾウです。その化石は数千個見つかっていますが、身体の各部の骨が比較的よくそろっているという程度の化石でも、3体しか見つかっていません。それらの中でも、本当にいいのは1体だけです。ということで、そんなに増えてはいないでしょう。
 ヒラコテリウムを現在のウマと直接比較しても、これがウマの祖先だという結論はでないのではないでしょう。それらの中間の形態を持った化石がたくさん知られているので、ヒラコテリウムとウマをつなぐことができる、というのが答えだと思います。
 オーウェンが最初研究したときには、まだその他の化石ウマのことがよくわかっていなかったので、ハイラックスに似た動物だという結論になったわけです。こういうことはよくあります。研究は知識の積み重ねですから、いきなり飛躍したすばらしい結論というわけにはいかないことが多々あります。今の知識ではヒラコテリウムはウマの祖先だとしか言いようがないでしょう。ただし、ヒラコテリウムは奇蹄類共通の祖先だといってもよいくらい原始的な形質を備えているとも言われています。

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