自然史博物館 質問コーナー(発言の個別表示)

■発言したひと:石井久夫学芸員(2000/03/12, 発言番号:328)
Re[1]: 貝の成長についての質問
キーワード:貝の成長
 二枚貝類でも腹足類(巻貝)でも、筋肉や内蔵をつつんでいる外套膜の先端にある上皮細胞(ホタテガイやアワビのひもとよばれる部分)から、一番表面の有機質の膜(殻皮)や貝殻のもととなる成分を含んだ体液を分泌し、炭酸カルシウムの微細な結晶(アラレ石や方解石)を沈着させて貝殻を大きくしていきます。したがって“いれもの”の貝殻をつくりながら“中身”も大きくなっていくわけです。二枚貝の場合は二枚のからがあわさっている側から縁のほうへと、巻貝の場合はとがっている部分から“中身”が出入りする口の部分へと成長していきます。
 人間の骨などは、つくられたあとも吸収されてあたらしい骨がつくられているようですが、貝の場合は、溶かされたりしないかぎり、つくられはじめからの殻がのこっているので、年輪のように年齢の推定ができることがあります。
 大きくなるスピードは種ごとに違います。アサリなどは良く見ると貝殻の成長が止まる時期とどんどん進む時期が読みとれます。市販のアサリで3、4年から5、6年でしょうか。牡蛎(マガキ)などは1、2年で出荷されるほど大きくなります。中には数10年さらに100年以上生きて長さが10cm程度という二枚貝も知られています。
 アサリなどの貝殻の表面をみていると、いろいろおもしろいことが推定できます。潮干狩でとれたアサリの中には、“事故”で貝殻が欠けたあと、修復するのにエネルギーを使うために他の所の成長がにぶくなっていると考えられるようなものもありますから、実物で確かめて下さい。なおアコヤガイなどの養殖真珠は、上皮細胞の一部と核となる玉をくっつけて外套膜の中に移植手術をして、丸く貝殻をつくらせているわけです。

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